被相続人(亡くなった人)の死後に、相続人(遺産を受け取る人)が話し合って作成するのが遺産分割協議書です。

遺言書は、自身の相続が意思通りに行われるように生前におこなう対策です。

1. なぜ遺言書が必要?

遺言書と聞くと、「私はまだ元気だから」、「財産が少ないから必要ない」、「子どもたちは仲がいいから揉める心配はない」などと思われがちです。

しかし、家族間のトラブル防止や、自分の意思通りに遺産を分配するために、遺言はとても重要な役割を果たします。

遺言書がないと、法定相続分通りの分配が本人の意思とは違っていたり、協議がまとまらずに親族間で深刻な争いに発展することも少なくありません。

お早めに、意思を正確に反映させる遺言書を作成することが、ご自身にとっても、親族にとっても大事なことになります。

2. 遺言書の基本知識 ~3つの種類とそれぞれの特徴~

遺言書には3種類あります。ご自身に合った形式を選べるよう、以下にそれぞれの解説をしていきます。

自筆証書遺言

全文を自分で手書きする形式。費用がかからず手軽だが、書き方の不備で無効になるリスクや、紛失・改ざんの恐れがある。

公正証書遺言

公証役場で公証人が作成する形式。費用(数万円程度)や証人2名が必要だが、法的に確実で紛失の心配もなく、最も安全性が高い。

秘密証書遺言

内容を秘密にしたまま公証役場で保管する形式。誰にも内容を知られないメリットがあるが、手続きが煩雑で開封時に家庭裁判所の検認が必要になる。

3. 無効にしないために! 自筆証書遺言の書き方の基本ルール

遺言書を作成できるのは、満15歳以上の個人です。

3つの種類のなかで最も手軽な「自筆証書遺言」を自分で書く場合の厳格なルールと失敗例を解説します。

必須ルール:

全文を手書きし、日付・署名・押印を必ず行うこと。

財産目録のみパソコン作成も可能ですが、その場合は目録への署名・押印が必要です。

自筆証書遺言は、その名の通り、本人が手書きしなければなりません。

つまり、病気や認知症の進行等の事情により自分で手書きができない場合は、自筆証書遺言が作成できなくなるということです。

この点も、本人が元気なうちに早めに遺言を書いておいたほうが良い理由の一つです。

財産の特定:

「全財産」などの曖昧な表現は避け、預貯金なら金融機関名・支店名・口座番号、不動産なら所在や地番などを具体的に記載する。

よくある失敗例:

日付を「令和8年3月吉日」や「令和8年3月」のように書き、具体的な日付がなかったために無効と判断されるケースがある。

4. 安全に保管する新制度と、専門家に相談するメリット

法務局の遺言書保管制度

2020年から始まった制度で、自筆証書遺言を法務局で保管(1通3,900円)してもらえます。

これによりデメリットであった紛失や利害関係人による改ざんのリスクがなくなり、死後の家庭裁判所での検認も不要になります。

注意点としては、遺言者本人が保管の申請を行う必要があります。また、保管申請の際は、遺言の内容について相談に応じてもらえるわけではありません。

専門家(行政書士や弁護士など)に依頼するメリット

特定の相続人の「遺留分(最低限保障された相続分)」を侵害して後から裁判になるような事態を防いだり、法的な不備のない確実な文案を提案してもらえたりします。

費用を抑えつつ遺言書の原案作成や法務局保管のサポートをしてほしい場合は行政書士。

すでに家族関係が複雑で、将来の法的な争い(裁判など)を強力に防ぎたい場合は弁護士、という使い分けが良いでしょう。

まとめ

自筆証書遺言はもちろんご自身だけで作成することも可能です。

しかし、実は思わぬミスをしていて法的な効力をもたなかったり、せっかく書いた甲斐がなかった、ということも十分起こりえます。

不安を取り払うためにも、専門家にご相談されることをおすすめいたします。

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