戸籍を何度も出す手間が省ける!「法定相続情報証明制度」のメリットと取得方法

戸籍を何度も出す手間が省ける!「法定相続情報証明制度」のメリットと取得方法

1. はじめに:相続手続きの最大の壁「戸籍の束」を解決する制度

相続が発生すると、銀行口座の解約や不動産の名義変更(=相続登記)など、様々な場所で手続きを行う必要があります。

その際、必ずと言っていいほど求められるのが「被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本」と「相続人全員の戸籍謄本」です。

これらをすべて集めると、分厚い「戸籍の束」になります。

手続き窓口ごとにこの束を提出し、確認が終わるまで長時間の順番待ちをして、返却されたらまた次の銀行へ行く……。

この作業は、ご遺族にとって精神的にも肉体的にも大きな負担です。

そんな負担を劇的に軽くしてくれるのが、「法定相続情報証明制度」です。

↑法定相続情報一覧図の写し・法務局HPより

2. 法定相続情報証明制度の3つの大きなメリット

法定相続情報証明制度とは、集めた戸籍一式と相続関係をまとめた図面(一覧図)を法務局(登記所)へ提出することで、
登記官が内容を確認し、認証文付きの証明書=「法定相続情報一覧図の写し」無料で交付してくれる制度です。

この制度を利用すると、次のような大きなメリットがあります。

【メリット1】複数の手続きを「同時並行」で進められる

法定相続情報一覧図の写しは、相続手続きに必要な範囲で「複数通」の発行が可能です。

そのため、A銀行、B銀行、証券会社、法務局へと同時に証明書を提出でき、手続きにかかる期間を短縮することができます。

法務局の窓口で聞いたところ、よく発行を希望される通数としては、5の倍数で5通、10通というパターンが多いようです。

【メリット2】窓口での待ち時間が短くなる

分厚い戸籍の束を銀行などの窓口に提出すると、担当者が一枚ずつ中身を読み解くため、非常に長い確認時間がかかります。

しかし、法務局のお墨付きのある「法定相続情報一覧図の写し」1枚を出せば、窓口の担当者も一目で相続関係を把握できるため、手続きがスムーズに進みます。

【メリット3】発行手数料が「無料」である

法務局での一覧図の保管や、証明書の交付・再交付の手数料は一切かかりません(※戸籍を集める際の実費や郵送料は別途必要です)。

また、一覧図は法務局で5年間保管されるため、その期間内であれば何度でも再交付が可能です。

3. 取得するための3つのステップ

法定相続情報一覧図の写しを取得するには、以下の3つのステップで手続きを進めます。

【STEP1】必要書類を収集する

まずはベースとなる以下の書類を集めます。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本(抄本)
  • 申出人(代表して手続きをする相続人)の身分証明書のコピー

【STEP2】「法定相続情報一覧図」を作成する

集めた戸籍をもとに、被相続人と相続人の関係を一目でわかるように図式化した「法定相続情報一覧図」をA4の白紙で作成します。

パソコン作成でも手書き(明瞭に判読できるもの)でもかまいません。
法務局のホームページに記入様式が用意されています。

【STEP3】法務局(登記所)へ申出をする

完成した一覧図と、STEP1で集めた戸籍の束、そして申出書を法務局へ提出します。

提出先の法務局は、以下の4つの中から都合の良い場所を選ぶことができます。

  1. 被相続人の本籍地
  2. 被相続人の最後の住所地
  3. 申出人の住所地
  4. 被相続人名義の不動産の所在地

※窓口への持参だけでなく、郵送での申出や交付請求も可能です(切手を貼った返信用封筒の同封が必要です)。
提出した戸籍の束は、証明書が交付される際に一緒に返却されます。

4. 【注意点】この制度で「できないこと」とは?

非常に便利な制度ですが、万能というわけではありません。以下の点には注意が必要です。

相続放棄や遺産分割協議の内容は記載されない

この一覧図は、あくまで「戸籍上の法定相続人が誰か」を証明するものです。
そのため、「誰が財産を引き継ぐことになったか(遺産分割協議書)」や「誰が相続放棄をしたか」といった情報は記載されません。
銀行などで手続きをする際は、証明書とは別に遺産分割協議書などの提出が求められます。

外国籍の方は利用できないケースがある

被相続人や相続人が日本国籍を有しておらず、戸籍謄本等を添付できない場合は、この制度を利用することはできません。

5. 専門家に任せて、よりスムーズな相続を。

法定相続情報証明制度の申出手続きは、ご自身で行うことも可能ですが、行政書士などの資格者代理人に手続きのすべてを委任することができます

◆行政書士からのアドバイス

「無料ならぜひやりたい!」と思う方も多いのですが、一番のハードルは【STEP1】の「出生から死亡までの戸籍集め」と、
【STEP2】の「戸籍を正確に読み解いて一覧図をパソコン等で作る作業」です。

本籍地が何度も変わっていたり、古い手書きの戸籍を読み解くのは、想像以上に時間と労力がかかります

行政書士は、これらの面倒な戸籍収集から法定相続情報一覧図の作成、そして法務局への申出代理までを行うことが可能です。

また、作成した証明書を使って、そのまま銀行口座の解約・名義変更手続きまで一括でお任せいただけます。

平日に役所や法務局へ行く時間が取れない方や、面倒な書類作成から解放されたい方は、ぜひお近くの行政書士にご相談ください。

「行政書士西村ともひろ事務所のホームページを見る」

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この記事を書いた人 Wrote this article

西村ともひろ

行政書士。 京都府城陽市で令和8年5月開業予定。 【保有資格】 宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級FP技能士/日本FP協会認定AFP/日商簿記2級