
遺言書を書く習慣はまだまだ世の中に普及しているとはいえません。
遺言書を書かない理由としては、「まだまだ先のことだから」「子どもたちは仲がいいから遺言書がなくても揉めないと思う」「遺言書を書くほど財産もないし」というものがあります。
しかし、先延ばしにしているうちにたとえば認知症になってしまっては遺言書が書けなくなりますし、相続の段階になると予想もしなかった揉め事が発生してしまうケースも少なくありません。
また、「財産は少ない」と本人が思っていても、遺される人たちにとっては決して少なくはないという場合も往々にしてあります。
ご自身がいなくなった後、確実にスムーズに相続が行われるように、また、相続時のトラブルを予防する意味でも、もっと広く遺言書を作成する人が増えることが望ましいと筆者は考えます。
この記事では、遺言書の中でも安全性が高いとされる「公正証書遺言」にフォーカスして分かりやすく解説していきます。
1. なぜ選ばれる? 公正証書遺言のメリットと作成にかかる費用
主に利用される遺言の方式には二つあります。
全文を自分で書く「自筆証書遺言」と、公証役場で公証人が作成する「公正証書遺言」です。
なかでも公正証書遺言は、毎年非常に多くの方に利用されています。
人気の理由は、形式の不備などで無効となるリスクがほとんどなく、公証役場に保管されるため、紛失や改ざんされるリスクがないこと。
また、死後に家庭裁判所での「検認」の手続きが必要なく、遺族がすぐに相続の手続きを開始することができること、などが挙げられるでしょう。
自筆証書遺言が無料でできる一方、財産の額に応じて手数料(数万円程度)が必要にはなりますが、公正証書遺言の方式には費用面でのデメリット以上に安全性の面でのメリットが大きいといえます。
2. 作成に向けた事前準備:財産の整理と「必要書類」の収集
公証役場に赴く前に、まずはご自身で、「誰に」「何を」「どれだけ」相続させるのかという遺言の原案を考えます。
そして印鑑登録証明書と実印、戸籍謄本、財産を特定するための資料(不動産の登記簿謄本や通帳のコピーなど)を準備します。
3. 公正証書遺言が完成するまでの「4つのステップ」
STEP1:公証人との事前打ち合わせ
準備した資料や原案をもとに、公証役場で事前の打ち合わせを行います。
STEP2:証人2名の確保
作成当日は証人2名以上の立会いが必要です。
未成年者や財産をもらう予定の人(推定相続人や受遺者)およびその配偶者や子ども等は証人にはなれません。
たとえば、「長男に財産を相続させるから、長男の妻を証人にしよう」と考えて当日公証人に断られてしまう、といった失敗がよくあります。
また、証人には自分の財産を知られてしまうことになるため、友人に証人を頼むのも抵抗のある方が多いのではないでしょうか。
第三者であり、かつ、職務上、守秘義務がある国家資格者である行政書士等に証人を依頼することをおすすめします。
STEP3:作成当日の手続き
遺言者(遺言をする人)が公証人に遺言の内容を口伝えし、公証人がそれを筆記して読み聞かせます。
STEP4:署名と押印
内容が正確であることを確認し、遺言者と証人、公証人がそれぞれ署名し、印鑑を押すことで遺言書が完成します。
完成後には正本や謄本を受け取り大切に保管します。原本は公証役場で保管されることになります。
4. 【要注意】当日のトラブルを防ぐ! 実印の確認と専門家の活用
よくある失敗例
当日に持参した印鑑が、印鑑登録証明書に登録している実印ではなく、認印や銀行印だった、というミスをしてしまうと、本人確認ができずに作成が中止になってしまうおそれがあります。
公証役場に行く前に必ず実印の印影チェックをしましょう。
専門家の活用
行政書士は、事前の戸籍収集や財産調査、公証人との事前の煩雑な打ち合わせの代行を行うことができます。
さらに、作成当日の証人になることもできるため、原案の作成から当日の立会いまで行政書士に一括して依頼することができます。
「遺言書を残しておきたいけど何から手を付けていいか分からない」「自分で書いてもいいのかな…」そんな疑問を持つ方がほとんどだと思います。
一人で悩まずに、まずは専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
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